(…力が言っていた別荘にある日誌を見れば何か分かるのかも…)
冬樹は小さく息を吐くと、読み漁ったファイル等を元の場所へと片付け、書斎を後にした。
書斎の奥の隠し部屋は狭く、一人で籠っているだけでもかなりの熱気だった。なので、リビングへと戻って来ると窓が閉まっていても空気が澄んでいる様な気がして、冬樹は大きく深呼吸をして身体に酸素を取り込んだ。
そうして閉め切った薄暗い部屋の中、ソファに深く腰掛ける。
「………」
暫くじっと目を閉じていた。
半分、眠りかけているのかも知れなかった。
十数分程そうしていただろうか。
だが、静かな空間に突然携帯の着信音が鳴り響いた。
「……っ…」
ハッ…として冬樹は目を開くと、僅かに離れた所にあるテーブル上に置いたバッグの側へと携帯を取りに立つ。
その携帯のディスプレイ画面に表示されていたのは…。
「……力…?」
力の電話番号を携帯に登録したのは、本当につい最近のことだ。
少し前までの自分では考えられないことではあるが、『慣れ』というは凄いもので、今ではそんなに力に対しての拒否反応もなくなっていた。
(でも、こんな朝から何の用だ…?)
冬樹は首を傾げながらも、とりあえず通話ボタンを押した。
それから30分後。
冬樹は駅前のロータリーに来ていた。
少しすると、目の前に一台の見覚えのある高級車がゆっくりと停車する。
後部座席のドアが開くと、
「冬樹っおはよう。早く乗れよっ」
力が笑顔で手招きをした。
とりあえず、運転手にも挨拶をして冬樹は車に乗り込んだ。
流石に一緒に並んで車に乗るのは、狭い空間でもあるし若干緊張したが、この際仕方ないと冬樹は腹をくくった。
「雅耶は呼ばなくて良かったのか?」
別に連れてきても良かったんだぞ?…と、力は何気なく言った。
「ああ、雅耶は…。今日は部活の大会なんだ。空手の…」
本当は、雅耶がいないのは少し心細いけれど。
(雅耶は大事な試合なんだし仕方ない。頼ってばかりいたら駄目だよな…)
下手に心配掛けるのも嫌なので、まだ連絡は入れていない。
空手の試合が始まる頃には携帯も手元にないだろうと踏んで、後で時間を見て一応メールで報告だけ入れておこうと思っていた。
「よし。じゃあ向かってくれ」
力が手短にそう言うと、運転手の男は「かしこまりました」…と頷いて、車を発車させた。
冬樹は小さく息を吐くと、読み漁ったファイル等を元の場所へと片付け、書斎を後にした。
書斎の奥の隠し部屋は狭く、一人で籠っているだけでもかなりの熱気だった。なので、リビングへと戻って来ると窓が閉まっていても空気が澄んでいる様な気がして、冬樹は大きく深呼吸をして身体に酸素を取り込んだ。
そうして閉め切った薄暗い部屋の中、ソファに深く腰掛ける。
「………」
暫くじっと目を閉じていた。
半分、眠りかけているのかも知れなかった。
十数分程そうしていただろうか。
だが、静かな空間に突然携帯の着信音が鳴り響いた。
「……っ…」
ハッ…として冬樹は目を開くと、僅かに離れた所にあるテーブル上に置いたバッグの側へと携帯を取りに立つ。
その携帯のディスプレイ画面に表示されていたのは…。
「……力…?」
力の電話番号を携帯に登録したのは、本当につい最近のことだ。
少し前までの自分では考えられないことではあるが、『慣れ』というは凄いもので、今ではそんなに力に対しての拒否反応もなくなっていた。
(でも、こんな朝から何の用だ…?)
冬樹は首を傾げながらも、とりあえず通話ボタンを押した。
それから30分後。
冬樹は駅前のロータリーに来ていた。
少しすると、目の前に一台の見覚えのある高級車がゆっくりと停車する。
後部座席のドアが開くと、
「冬樹っおはよう。早く乗れよっ」
力が笑顔で手招きをした。
とりあえず、運転手にも挨拶をして冬樹は車に乗り込んだ。
流石に一緒に並んで車に乗るのは、狭い空間でもあるし若干緊張したが、この際仕方ないと冬樹は腹をくくった。
「雅耶は呼ばなくて良かったのか?」
別に連れてきても良かったんだぞ?…と、力は何気なく言った。
「ああ、雅耶は…。今日は部活の大会なんだ。空手の…」
本当は、雅耶がいないのは少し心細いけれど。
(雅耶は大事な試合なんだし仕方ない。頼ってばかりいたら駄目だよな…)
下手に心配掛けるのも嫌なので、まだ連絡は入れていない。
空手の試合が始まる頃には携帯も手元にないだろうと踏んで、後で時間を見て一応メールで報告だけ入れておこうと思っていた。
「よし。じゃあ向かってくれ」
力が手短にそう言うと、運転手の男は「かしこまりました」…と頷いて、車を発車させた。



