屋上カメラマン

 階段を二階まで降り、皆が掃除をサボるせいで埃だらけになっている廊下を進み、短い渡り廊下を渡る。そうやってたどり着いた場所は、寂れた薄暗い部室棟だった。俺は帰宅部なのでここに来るのは初めてだ。

 ドンは「写真部」と書かれた札のかかったドアの前で立ち止まり、ポケットから小さな鍵を取り出してドアを開けた。カビた臭いが小さな部屋の中から漂ってくる。あまり掃除をしていないのか、部屋の中は廊下以上に誇りだらけだ。

「入れ」

 どういうわけか次第に高圧的な態度になってきているドンが、命令口調でそう言った。不思議なことに、逆らおうという気は起きてこない。

 部屋の中には長方形のアルミ缶が大量に積んであった。いくつかのフィルムが無造作に机の上に転がっている。ドンはそのフィルムを手で弾いて隅にどかし、そこにアルミ缶を一つ置いた。

 ドンがアルミ缶の蓋を開けと、中から大量の写真が姿を現した。きちんと整頓すればいいのに、写真は缶の中でバラバラに散らばってしまっている。

「見ろ」

 ドンはまたもや命令口調。それでも、言われた通りに一番上にある写真を手に取った。