「また藍海?今度はスパイクで頭殴られたりでもしたー?」
姉の煽りなんて耳に入ってこない。
隼人くんを佐那ちゃんの元へ戻した。これでいいの。この方が隼人くんも佐那ちゃんも幸せだから。
「お姉ちゃん。好きな人作らないにはどうしたらいいの。」
「難しい質問ですね。あんたは昔から〇〇くんが好きーって毎回話してたから。尼さんになるしかないんじゃないの。」
この人に聞いた私が馬鹿だった。聞く相手を間違えた。
「隼人くんはどうしたの。」
なんとなく察してるくせにわざと聞いてくる。
「元カノのところに返した。」
「ほぉ。あんたはそれでいいんだよね。」
小さく頷く。
「じゃあ隼人くんは?隼人くんは簡単に藍海のこと投げ捨てたわけ?」
首を振って答えた。
「どうせ走って逃げてきたんでしょ。もっと自分のこと考えな。藍海はいつも、親のため、友達のため、好きな人のため、彼氏のため、色んな人に尽くしてきたでしょ。」
姉にこんなこと言われる日が来るなんて思わなかった。
「でもね、隼人くんは藍海に幸せになってもらいたいんだよ。もう少し隼人くんに甘えてみな。今藍海から隼人くんがいなくなったら、誰も藍海に幸せなんてくれないよ。」
隼人くんのことを思い出す。そして同時に思い出す2つの恋。もうやめよう。そう決めていた恋をもう一度したいと思わせてくれた人。どうしたらいいかわからなかった。
そして私は決めた。保健室で待とう。隼人くんに選択権を委ねた。