「ハッ…!」
最悪。
「どうしたどうした!」
隼人くんが私の声に驚いて駆け寄ってきた。
「書いてた小説全部消えた。10ページも消えたこの一瞬で…。」
隼人くんが驚いて笑う。
「小説なんか書いてたの?」
「良いじゃん別に!うるさいな!」
急に恥ずかしくなってくる。だって書いてたのは君のことだから。
「見せて見せて!どんなやつ!」
私の上に乗り携帯を奪おうとする。
「やめてよ!!絶対嫌!死んでも嫌!!!」
「ていうか、消えちゃったんでしょ?読めないじゃん。」
その言葉で目を覚ます。
「忘れてた…。覚えてる限り書きなおさなきゃ。」
「どんまい。」

「最初は、今までの私の恋の実話。隼人くんと出会うまでのお話。途中からは、もし隼人くんと高校が同じだったらどうなってたかなっていう、妄、じゃなくて想像。遠距離辛かったけどさ、今こうして一緒に暮らせて幸せ。こんな私を選んでくれてありがとう。完成したら読ませてあげるね。」
「わかった。楽しみにしてるね藍海の妄想物語。」
「うるさい!」