初めて手紙が来た日から1週間事に一枚の必ず手紙が机の中に入っているようになった。

〝ムカつく。〟

〝幸せになんかならせない。〟

〝笑ってんじゃねーよ。〟

〝幸せ奪ってやるから。〟


1ヶ月はこういう手紙だけだった。

けど、だんだんと変化が起こり始めた。



「ちょっと聞いて!私の教科書が見つからなくてさ。」

「夏芽は馬鹿だから失くしたんじゃねぇの?」

「いや、僕もそう思って一緒に探したんだけど無かった。」

「…ちょっと待って。優くんもそう思ったから探したの?!」


3人は笑い事だと思っているけど、私だけは背中に嫌な汗をかいた。


「そういや、俺のペン知らね?」

「知るわけないでしょ!バカ亜羅汰!」

「ファンが持ってったんじゃない?」

「気持ち悪ぃなぁ。…ペン1本だけ無くなったんだよなぁ。」


『…優は?なにか失くなったりしてない?』

「ん?僕?…僕はまず学校に何かを置くっていう習慣がないからなぁ。」


優がそう言うと夏芽と亜羅汰がぐっと言葉を詰まらせた。


「だ、だって!重いんだもん!」

「めんどくせぇんだよ。」

「不用心だなぁ。2人とも。…どうかしたの?…蛍?」


『……えっ?』


「何か考え事?」

「どうかしたのか?」

「蛍?」


3人の顔が心配そうにこっちを向く。


『ううん。何でもない。
夏芽も亜羅汰も失くすなんてアホだなって思ってね。』

「うっせーわ。」


亜羅汰にはジロリと睨まれ、夏芽はむくれてしまった。

私は一人、前を向いてこれからどうすればいいのか考えていた。

3人が顔を見合わせて、そんな私を見ているとも知らずに。