夏芽がしばらくして落ち着き、離れると有川くんを迎えに行くと言っていなくなった。
すると、今度は鳴海が近づいてきた。
『…な、なに?』
鳴海が近づくと昨日の告白らしきものが思い出され、頭の中で危険信号が鳴り響いた。
皮肉なことに胸まで高鳴ってる気さえするから相当精神的にもまいっている。うん。
そんなことを考えていたら、いつの間にか昨日よりも近い位置に鳴海がいた。
『っ、!』
「あのさ、俺には感謝の言葉も謝罪の言葉もないわけ?なぁ…蛍ちゃん?」
いつの間にか近づいていたのは身体だけでなく顎を掴まれ上を向かされたことにより顔までも近くにきていた。
かなりの身長差があるはずなのにと驚く気持ちと、何故だか囁かれた言葉や表情にとてつもない甘さが含まれていたことへの動揺が私の胸を覆った。
『っっ!ありがとうございましたっ!ご心配おかけしてすみませんでしたっ!!!』
彼の胸を押しのけ、距離をとるのと同時に早口で彼が求めた感謝と謝罪の言葉を口にした。
赤くなっている自信がある顔でチラリと彼の顔を見るととてつもなく甘ったるい顔でニヤリとこちらを見ている鳴海と目があってしまったことでさらに私の心が…酷く軋んだのだった。

