あなたに出逢えてよかった。


キーンコー…――――


(…チャイム…?ん?今っ、時間は?!)


チャイムの音に目が覚め、焦って時計を見ると午後の授業がすべて終わっていた。
1回も授業をサボったことがない私は少しショックをうけた。


(待って、あいつはどこに行った?!)


私を起こすと言っていた人を探すと窓側の席に、顔の上に本を広げて寝ているらしい人がいた。

静かに静かに近寄り、その男の前に立った。


(こやつ、どうしてくれようか。)


取り敢えず、起こさないように本をとった。

本をとると男の顔がでた。


(よく見ると、顔整ってるよなぁ~。)


綺麗に整った顔が、メガネで隠れているのが少しだけ残念だと思った。

いつの間にか手はメガネに伸びていて、ゆっくりとメガネを外した。


(うん。やっぱり綺麗。)


メガネを外すと、長いまつげが綺麗に整っていて、男の人だけれどとても綺麗だ。


「…ん。」


すると、男がうっすらと目を開けた。

そして


微笑んだ。


「…けい…。」


そう言って、また寝た。


「え…?」


けい?

私?

少しだけ混乱が起きた。

私じゃないかもしれない。

けど、何故だかこの声を知っている気がした。

この笑顔も

この人からでる暖かさも。


混乱して、

起こしてくれなかったことを責めるのも忘れて、私はいつの間にか図書館を飛び出していた。