うちからは、電車に乗って15分。
どこにでもある公立の高校。

「このジョガリコ、結構好きだわー」
「ちょっ……勝手に取らないで!!」

どんどん私が食べてくもんだから、爽ちゃんのジョガリコは底をつきそうになってた。

「……ないわー」
「ごめんごめん、後でピーマンあげるから」
「いらない!!」

校門の前の信号が赤になるのを待っていると、同じ制服の男の人が、すぐ隣に立った。
吸い寄せられるように、その人に目が行ってしまう。
くっきりとした二重に、スッと通った鼻。薄い唇。黒いイヤホンをつけて、ただぼうっと前を見ていた。
大人びた雰囲気で、制服を着ていなきゃ高校生だとわからない感じだ。

「……知り合い?」
爽ちゃんが、ジョガリコの箱を潰しながら言う。
「ううん。初めて見た。先輩かな?」
「知らない」

信号が変わり、スタスタと先を歩いて行く。
なんか目が離せなくて、自分が次第に目を細くしてることに気づけなかった。

「………………。」