昔から、人の感情に鈍感だった。

　自分が人に好かれているのか、嫌われているのか、そもそも関心があるのかさえもわからなかった。
　別にそれでいいと思っていた。
　けど、それじゃダメだと思い知らされたことがあった。

「何。友達とでも思ってたの？　馬鹿馬鹿しい！　私はそんなこと思ったことなんてないわ」

　私が友達だと、中学三年間、ずっと思っていた人から、そう言われた。
　ショックだった。
　その子のいない高校で過ごしていても、ふとした時にその言葉を思い出す。

　そのせいで、私は、高校に入学して一ヶ月経った今でも、友達が出来ていない。

　そのことを、高校三年生の、蒼衣(あおい)兄さんに相談したら、スイートポケットという店に行くといいと、言われた。