そのなかに
一歩、また一歩と足を進める

ガチャン

背後から扉が閉まった音をきき

まるで牢獄のような
寒くて薄暗い、鉄格子のなかに入る

もぅ慣れたことだ

鬼は壁についてる手錠をわたしの両腕につける
いつゆいが出てきても暴れないようにだ

そしてここは

監禁部屋

わたしの記憶のなかで
ゆいが最後に出てきてくれた部屋だ

手錠をつけられたわたしは冷たい石の床に座り込む

ペタン

鬼はわたしの15mはなれたところくらいに座る

しばらくの無言の間のあと

鬼が口を開いた

鬼「ゆいは?」

いつも、ゆいは?この質問をされる

雪「いない」

鬼「どうしたら出てくると思う?」

雪「わからない」

わたしだって会いたいよ

鬼「お前になにかあればあいつは出てくるんだよ」