あの後、詩月さんはさっさと自分のデスクに戻っちゃったし。

自分の保護対象を観察するとしよう。

彼、片山遷之介は世の中では美青年に入る部類だろう。

日本人にしてははっきりした顔立ちに少し癖のある黒髪、同じ歳にしては大人びた雰囲気が有るし、私とは正反対だな。

私も背は高い方なんだけどなー。

見下ろされるのはなんか新鮮かも。

「あの、古賀さん?」

彼は戸惑った様子で私を呼んだ。

「水束でいい。あと、敬語も必要ない」

堅苦しいのは苦手だからな。

気楽な方がいい。

「じゃあ、水束....、俺なんか変?」

「は?」

予想外の問いに思わず聞き返した。

変て何が?

「さっきから俺の事見てるから」

ああそういう事か。

「ごめん、失礼だったね。別に君が変だから見てたわけじゃないから」

うーん、このあとどうしよう....。

彼には保護の期間中私の仕事を手伝ってもらう事になってるんだけど、いきなり連れて行っていいのか?

山積みの書類を見ても局長の字で『初日は適当に見回りでもして来い』ってあるし。

「今日はどうすればいいですか?」

「見回りに行こう」