翌日、恭之助は約束通り迎えに来てくれた。
車は亜美の予想通りリムジンだった。

やっぱりリムジンか…

「あの… ひとつ聞いても良いですか?」

「「なに?」」

翼と恭之助が同時に返事をする。

「この車は恭之助さんの車ですか?」

「違うよ、会社の車」と恭之助が言う。

ですよね?

「じゃ私の為に車を使うのはおかしくないですか?」

「別におかしくない」

翼の言う返答に亜美は翼へ顔を向ける。

「どうして?」

「俺の大切な人だから」

「どうして?翼だってまだ会社の人間じゃないでしょ?翼は御曹司だから…翼が使うのはいいかもしれないけど、でも今は私の為だよね?」

「亜美?俺はまだ会社を継いで居ない。でも会社の人間じゃないとは言っていない」

え?

「俺はカフェスターハートの企画や開発を全て任されてる。電話やメールで仕事するから殆ど会社には顔出さないけど、学校にいる時でも俺はこれで仕事してるから通学に会社の車を使っても誰にも文句は言われない」と翼はスマホを見せる。

「この車にも仕事用にパソコンは積んであるしね!今までは通学に車は使わなかっただけ!ちなみに恭にぃは俺の専属の運転手」

「お陰で俺は殆ど仕事無くて暇なんだけど」と恭之助がルームミラー越しにニッコリ笑う。

「だから亜美が気にする事じゃ無い。分かった?」

分かったって…

あまりの話で吃驚しているとしか…

だってあのスターハートの企画や開発を全て任されてるってありえない…

「じゃ私の好きなアップルシナモンロールやチョコリキサーも翼が?」

「そう」

アップルシナモンロールは思った程じゃなかったけど、チョコリキサーはまぁまぁかな?なんて言ってる。

この人マジで凄い人…