せっかく用意してくれた車いすだが断ることにした。

じゃ俺の肩に掴まれと言われ亜美は翼の肩を借りリビングのソファーに座る。


「母さん頼んでおいた物買って来てくれた?」

「うん。買って来たわよ」


美智はダイニングテーブルの上に置いてあった紙袋を翼に渡した。


携帯ショップの袋?

翼、携帯変えるのかな?


「翼と同じタイプのピンクにしたわ」

「ありがとう」


え?翼がピンク?


翼はスマホを触り何やら登録すると


「はい、亜美のだよ!」

「え?」

「携帯がないと不便だろ?」

「ひょっとして麻美との話聞いてた?」

「森山もそうだけど俺も連絡取れるように持っていて欲しいから、でも亜美の足が治るまでは離れないけどね?」

あはは… さようですか…

「番号は俺とお袋、それから森山のが登録してある。さっきLINEで森山には亜美の足の状態は連絡してある。後で亜美から連絡すると良いよ」

「ありがとう。美智さんも有難うございます。お金はちゃんとお支払いしますから」

「やだ気にしないで?勝手にやってることよ」

「でも…」

「亜美、金の事は良い。その代わり俺以外の男の番号は登録するなよ!勿論、教えるのも無しだ!」

「うん!」

私が翼の他に教えるような男の人は居ない。ましてや私が異性から番号を聞かれるわけがない。

「あらあら、束縛し過ぎると亜美ちゃんに逃げられちゃうわよ」と美智は笑う。