翼達を載せた車は静かに走りだし直ぐに首都高へと入った。

「翼?俺には彼女紹介してくれないの?」

「なんで恭にぃに紹介するの?」

「ぅわー冷たいね?俺、お前の為に色々動いてやってるじゃん?」

「その代わりあのホテルのレストラン使わせてるでしょ?俺の名前で好き勝手に飲み食いしてるじゃん!嫌なら別に良いけど?プロの探偵に頼んだら済むことだしどちらでも俺は困らないよ?」

あのホテルのレストランは坂井家がいつでも使える様に個室を年間通してリザーブしている。

翼の情報量の多さはこの恭之助が動いているからなのだ。

「鬼!俺があのレストラン気に入ってること知ってて言うんだからな?本当お前は鬼だよ!」

「恭にぃが気に行ってるのは女の子が喜ぶからでしょ?」

「そう!あそこのレストランから見る夜景綺麗だからね女の子は直ぐに落ちるんだよね」

「いい加減女の子騙すの辞めたら?」

「騙すってお前失礼だね?俺はちゃんとする前に本気にならないけど良いかって了解取ってるし」

了解って…呆れてなんも言えねーよ!

「あの…」

「あっごめんね?俺、芳人さんの従兄弟の息子で尾野恭之助、宜しくね!で、君の名前は?」

「私は立花亜美です。私の父と芳人さんが友達なんです」

「ツグミ……ねぇ亜美ちゃんって学校何処?」

「坂井君と同じ慶凛館高校です」

「なんだ君か?翼の一目惚れの相手って?」

恭之助はルームミラーで亜美を見る。

「きょっ恭にぃ訳の分からない事言ってないでちゃんと前見て運転しろよ!危ないだろ!」