マンションのエントランスに車が着くと私達を降ろした恭之助さんは珍しく何も言わず急ぐ様に帰って行った。
「恭之助さん珍しいね?」
いつもなら、なんだかんだと翼をからかって一言二言言うだろうに?
「美姫さんが待ってるからだろ?」
ああ、そっか!クリスマスだもんね?
エレベーターに乗り部屋へと上がる。
翼が玄関チャイムを鳴らしてもなんの応答も無く、美智さんは出て来ない。
ん?
私達は顔を見合わせドアの鍵を開け部屋へと入る。
部屋の中は真っ暗でシーンと静まり返っている。
誰もいないの?
リビングルームに入ると急に明るくなり
パンッ!パンッ! クラッカーの音。
「「「メリークリスマス!」」」
えっ?!
そこには美智さん芳人さんだけじゃ無くて、イタリアに居るはずのパパ、ママそして一史が居た。
驚き固まる翼と私。
そして芳人さんとパパも目を丸くして固まっている。
そりゃー勉強も仕事も出来、自慢の息子が全身タイツのトナカイで帰ってきたら驚くよね?
パパだって、数ヶ月前まで一緒に暮らしていた娘がメイクをし、パンツが見える超ミニスカートを履く様になっているなんて想像もしていなかっただろう。
「キャー亜美ちゃん可愛い!翼の格好ナニ?笑える」と美智さんは翼の肩を叩いて笑ってる。
ママも亜美可愛い!と私に抱き着いて来た。
一史は「姉ちゃんも変われば変わるもんだな?」と変に感心してる。
「なんでママ達が居るの?」
「意外に早く新しい支社長が決まって年明けからパパは日本に戻って来る事になったんだけど、どうせなら直ぐに戻ろうって事になってね、帰って来たの」
そういう事?
「でも、ママ知らなかったわ?亜美が翼君の事好きだったなんて」
まぁ言ってないから知らないでしょうね?

