「ねぇ翼?まだ怒ってる?」

翼はエレベーターに乗ってから顔を背けて無言。

「ごめん…」

私は悲しくなり俯く。

すると翼は私を抱きしめ

「ごめん…俺って格好悪いな?嫉妬ばかりして」

翼…

私は顔を上げ翼を見つめる。

翼の不安そうな顔にキュンときてしまう。

「そんな事無いよ、翼は格好良いよ」と言って

初めて自分から翼にチュッとキスをする。

翼は驚いて目を丸くするが直ぐにいつもの翼に戻る。

「亜美カメラが有るの忘れてるだろ?」

あっ… 

「もう遅い」と私の唇を翼の唇が奪う。

エレベーターが到着の音を立てると翼は私から離れエレベーターから降りると

「足りない」と言って玄関前で再び唇を塞がれる。

こんな所でマズイよ…

そう思っていると玄関の扉が開いて美智さんが出て来た。

私達は慌てて離れる。

「あっ翼、恭ちゃんが翼に電話しても出ないって」

「はぁ!?電話なんか掛かって来てないぞ!?」

翼はポケットからスマホを出しチッ!と舌打ちすると何処かに電話をする。

「電話なんか掛けて来てないじゃないか!?また邪魔したんだろ?」

微かに聞こえる恭之助さんの笑い声。

それを聞いて美智さんも笑う。

そして私は顔を赤らめ苦笑いする。