――好きです。一条さんの事が、好きなんです



一華の声が何度も頭の中で繰り返される。





「一条くん、この間の会議の資料だけど」

「・・・あ、はい」




会社の先輩である工藤えみり、工藤さんは怪訝そうな顔で俺を見た。
言いたいことはわかってるから、居心地が悪く目を伏せた。



「ボーッとして。仕事中よ」

「わかってます、すみません」

「悩みなら、仕事終わった後に聞いてあげるから。今夜、飲みに行きましょ」

「・・・どうも」



工藤さんは、面倒見がいい。
仕事もできて、気配りもうまい。
俺の新人の頃からお世話になっている人だ。