“……ハイツ 201号”



手元にある紙を見下ろし、私は緊張で高鳴る胸を静めるため深呼吸をする。
槙原さんに教えてもらった洋介さんの住んでる場所。



私はその扉の前で、洋介さんの帰りを待ちわびている。



謝って。
それから、自分の気持ちをちゃんと話して。



うまく話せるかな・・・。





「・・・一華?」



待ちくたびれて扉の前でしゃがんでいた私を呼ぶ声。
何度も聞いた、大好きな人の声。



「洋介さん」


今にも泣き出しそうになって、考えていた言葉の一つも言えなかった。