「ここ、コーヒーが美味しいって評判なんです!」

「へぇ」



レトロな外観と内装の喫茶店に入り席につくと私は張り切って訴えた。
手書きのメニュー表を眺めながらあまり興味なさげに呟いた。



「・・・じゃあ、コーヒーにしようかな。お前は決まった?」

「はい」




一条さんは顔をあげ振り向くと店員さんを呼んでくれる。




「お決まりでしょうか」

「アイスコーヒーひとつ」

「あ、ココアを」

「はい。アイスコーヒーとココアでございますね。少々お待ちください」




笑顔で頭を下げると立ち去る店員さんを見送る。
再び二人になる。

さっきまでは注文を決めてたから平気だったけど、なにもなくなるとどうしたらいいのかわからなくなる。



「コーヒーがオススメなんじゃねぇの」

「え?あ、はい。あ・・・。私、苦いの苦手で・・・」

「舌もガキなのか」

「う・・・」