背伸びして、キス



「寒いし、どっか入るか」

「はい」




槙原さんと私は、すぐ側にあったファミレスに入る。
向かい合って座り、飲み物だけ注文すると私は居心地悪くソワソワしてしまう。



「・・・あいつは、弁解とか言い訳するつもりないみたいだけどさ。俺はそれじゃあ、あいつのためにもこのままじゃダメだって思ってるから、こうして一華ちゃんに会いに来た」

「・・・はい」

「バイト先に押しかけてごめんな」

「いえ、そんな・・・」




私は力なく首を横に振った。




「とりあえず、今、一条は広美のところにいるわけじゃない」

「え・・・」

「それから、あの日の事。俺が一条から聞き出した話をそのまま伝える」

「・・・はい」




それから、槙原さんはゆっくりと洋介さんから聞いたあの日の事を話してくれた。
突然広美さんから連絡が来たこと。
取り乱していて、子どもの熱が下がらないと泣いていたこと。

シングルマザーで頼れる人がいなくて、張り詰めてた糸がプツッと切れたみたいに、取り乱していて放っておけなかったこと。