体育祭に見に行く、なんて正直こっぱずかしかった。
周りは保護者とか、そういう関係者ばっかだろうし。

28になって、恋人の行事を見に行くって、滅多に経験することじゃねぇしな。
つくづく、あいつは高校生で、まだ未成年なんだって自覚する。



未遂に終わったあのキスも――――。
わかってたはずなのに。

大人の俺が自制しないといけないって。
わかってたはずなのに。



気づいたときには唇が触れそうになっていた。




がっついてるみたいで、情けねぇ。




「なんだそれ。体育祭のお知らせ?」

「げ、見てんじゃねぇよ」



うちに遊びに来ていた槙原が覗き込んで聞いてくる。
俺は、一華にもらったそのプリントを折りたたんで押しやった。