背伸びして、キス



「あー、お前、ほんとずるいよな。そういうことサラッと言って」

「え?」

「我慢してる俺の気にもなれよ」

「え、えっ?」



なんの話?
聞き返す前に退場するように指示が出てそのまま退場門に進んだ。



「てかお前、すげー顔」

「え、あ、粉・・・。躊躇ったらダメだって思って思いっきりいっちゃった」

「誰よりもひどい」

「う、嘘・・・」



洋介さんがおかしそうに笑いながら私の顔の粉をはたいてくれる。
ひどい、の言葉通り、はらはらと白い粉が舞う。




「舞妓みたいになってんぞ」

「へへ・・・。ありがとう」

「ん。頑張れよ」

「うん。見てくれてる人がいると、頑張れる!リレーも頑張るね!それと、お昼前の応援合戦、私チアやるから!」

「へぇ」

「チアの格好するからね、楽しみにしててね」



名残惜しいけどそこで別れ、私は自分の応援席に戻った。