「電話の時・・・、元気って聞いたら洋介さん、嘘ついた。倒れたの、言わなかった」
「なんで、それ知って・・・」
「私が頼りないからでしょう?子どもだから。甘えたりできないんだ」
「違う、そうじゃない・・・!」
洋介さんの叫び声に言葉を噤んで。
視線をあげた。
「言わなかったのは、その・・・、かっこ悪いところ見せたくなかったからで・・・」
「え・・・?」
「体調管理もできずに倒れたとか、知られたくなかったんだよ!」
「へ・・・」
「お前の前ではかっこいい大人の男でいたかったの!」
街灯だけが灯る夜道は、車の中だと余計に暗くて洋介さんの顔をはっきりと見ることはできない。
でも、きっと今の洋介さんが赤い顔をしているであろうことはすぐに分かった。


