背伸びして、キス



「たまたま会ったのよ。だから、一華でも呼んでって話になった。それだけ!」

「へ、へぇ・・・。そんなムキにならなくても」



涼子ちゃんの恋バナって、そういえばあまり聞いたことないな。
どんな恋してるんだろう・・・。



「・・・言われるより」

「え?」

「ううん、なんでもない」




涼子ちゃんは首を横に振り再びデンモクに視線を落とした。




「一華さ、そういえばあの・・・おっさんとはどうなった」




涼子ちゃんが歌いだすと、少し躊躇いがちに武くんが聞いてきた。
おっさんって、一条さんの事だよね。




「・・・どうもなってないよ」

「そっか・・・」



武くんはホッとしたように笑う。
どうもなってない。
ちょっと嘘ついちゃった。


フラれたし、彼女だっているってわかったし。
もう、望みなんてないってわかっちゃったのに。



認めたくなかったのかな。
往生際が悪いよね。