「どうしよう…これで本気で嫌われちゃったら…」


自室に戻って服を着替えたあたしはヒロキからの着信履歴と睨み合っていた。


どうしてこうなっちゃったんだろう。


そもそもヒロキがあたしに対して冷たすぎるから悪いんだよ。いくらあたしが辛抱強い性格だからって落ち込んじゃう時くらいあるのだ。


「そうだよ。ヒロキは何度もあたしの電話に出なかった時くらいあったし、あたしが一回くらい出なかったからって責められるようなことじゃないもん」


開き直ってむしろ強気で電話をかけてやろうと通話ボタンの上に指を置こうとするけど、思わず躊躇ってしまった。


私は悪くなんかない、と何度言い聞かせても、もしそれで嫌われちゃったら…?なんて嫌な予感ばかりが浮かんでくる。


「あーもう!何であたしお風呂なんか入っちゃってんのよばか!」


ヒロキもヒロキだよ。この二週間の間一度も連絡よこさなかったくせにこんなタイミングの悪さでかけてくるなんて本当に何なの!?


って、いやいや、逆切れしてる場合かあたし…。


イライラする自分とどこか冷静な自分が頭の中でぐるぐると葛藤する。


何だか猛烈に悔しくなってきた。


ヒロキはあたしの電話に出られなかったくらいでこんなに焦ったり動揺したりなんてしないのに、あたしばっかりヒロキの事が好きみたいで…。


こんなに離れてるのに、どうして好きは積もっていくんだろう。どんどんヒロキのこと好きになっていく自分が、すごく悔しい。