噂では警察学校は刑務所みたいな所で、外出も自由に出来ない。


身内とも、なかなか会えない。


そんな環境だって聞いてたので。。。


何年ぶりだろうか。


その日は親父とお袋。
僕と弟の家族全員で朝飯を食べた。


なんか照れ臭いと言うか会話はあまりなかったが。。。


親父は嬉しそうだった。


食事が終わって。。。


お袋が洗い物をする為に台所に向かう。


僕と弟、親父の三人は朝のニュース番組を黙って見つめる。


親父が口を開く。




久々にどうだ?
キャッチボールでも。




僕は小学生の時、野球少年で、毎朝、親父とキャッチボールしていたんだ。


その時に毎日通っていた公園に三人で向かって久々に汗を流した。


昔は剛速球だと思ってた親父の球には勢いがなく。


逆に僕が投げる球までも捕球出来ないくらいだった。


まだ小学生の弟は単純にはしゃいでいたが、僕としては複雑だった。




親父は毎日、家族の為に身を削って働いてるんだもんな。
今まで育ててくれてありがとう。




照れ臭くて絶対、口には出せないが親父の投げる一球一球に人生の重みを感じたんだ。


それが、まさか。。。


親父との最後のキャッチボールになるなんてことは夢にも思わずに。。。