「…俺たちさ」

「ん?」

「何か悪いことしたのかな」

「さあな」

隣にいる友達が答える。

「恋愛ってさ、もっと簡単で、もっと楽しいものじゃないの」

「世界には、それを一生かかっても手に入れられなかった人もいる」

「…俺はその1人だと」

「お前は大丈夫だよ。縁がないだけで。とりあえず愛も地位も進展のない今のバイトはやめとけ。新しい場所でまた出会いを探せよ」

「…そうだな」

自分は顔も悪くないし、人に全力で尽くせる一途さと優しさはあると思う。

また縁がなかったな、と思って、先に進むことにした。



ー了ー