紫煙のむこう

「涼本ですが、何ですか?」
「いや、大した物じゃないんだけど、この書類を親御さんに届けてくれる?」

ああ、なるほど。
うちはいわゆる旧家の家柄で、多額の寄付をしてくれるうちの家は
学校にとってご機嫌をとらなくてはならない相手だった。

「分かりました。宜しく伝えます」

そう言って先生の元を去ろうとすると、先生は、

「さっき、職員室の前で会いましたよね?」

と聞いた。