(う…。どこだ?ここ。)



 目を開けるとそこは森で、目の前には丸太でつくられた家が建っていた。



 (『ヘンゼルとグレーテル』の中…だよな。とうか、なぜかいつもより見えてる高さが低いし、後ろらへんまで見えて…。ん?四足歩行で歩いてる…?)



 家の窓をそーっと覗いてみるとガラスに映った自分に驚いた。



 「う、うさぎ!?」



 状況に頭がついていけず、混乱していると静かな森に凄い音が響き渡った。



 ガシャン パリンッ



 (陶器が割れる音!?あの家の中からだ…。)



 「ちょっとあんた!もっと稼いでこれないの!?」



 「俺だって精一杯がんばってるよ!子供が2人もいるんだ、思うような幸せな暮らしなんてもっと時間がないと出来ない。贅沢を言うな!」



 (ヘンゼルとグレーテルの両親かな…。凄い罵声。)



 「…そう。わかったわ。私にいい考えがある。あなた、明日の夜に子供達連れて仕事がてら森へ行って、あの子達をおいてきて。」



 「!?なんで俺が!それに、子供達をおいてくるってつまり、捨てて2人で暮らすっていうのか!?」



 「ええ。だってあの子達がいるから、あの少ない稼ぎで食べ物を買うのがやっとなのよ?とくにヘンゼルなんて今食べ盛りだから、私達の食べる分なんかパンひとかけらしかない。」