「……でも実際、俺より佳菜の方が、道案内向いてると思う」
「そう?私、方向音痴だから説明下手だよ」
「でも、おすすめの場所とか色々知ってるじゃん。佳菜は明るいし、笑って話してくれるから、俺だったら絶対佳菜に聞く」
「……そ、そうかなぁ?褒めすぎな気もするけど……えへへ、ありがとう」
……なんか、今日は嬉しいことばっかり言ってくれるね、俊くん。
基本的に、俊くんは私に対して過大評価な気がする。私はそんなにすごくないよ。ただ、なるべく人生を楽しく生きていきたいだけだ。
ぜんぜん、ほんとにぜんぜん、こうやって俊くんに褒めてもらえるような女の子じゃないんだよ。
「俊くん、モテるでしょう?」
再び2人で歩き始めて、さりげなく、なんとなく聞いてみた。
俊くんはちらりと私の方を見たあと、少し目を伏せて「……まあ、それなりに」と認めた。



