『楽しい』って感情ばかりを追いかけて、それ以外はできるだけ排除しようとする。
それに、俊くんを利用してる。瀬戸先輩のことを考えて落ち込むより、俊くんと過ごす方が楽しいからって。
……俊くん。
本当なら私は、君にそんなにも優しい目を向けてもらえるような人間じゃないんだよ。
私の良心が痛んで、苦しくなった。
少しだけ気まずくなった空気を壊すように、私は笑った。
「……わ、私が失恋するのは当たり前なんだよ。好きな人に話しかけることもできずに一年も経ってさ。自分に自信がないからって」
ドリンクを手にとって、ちゅーと飲む。冷たい炭酸飲料が喉を通って、熱くなっていた喉の奥が冷やされた。
私の言葉に、俊くんが首をかしげる。



