「……しんどいこと話させて、ごめん」
「いやいや、俊くんが謝る必要ないよ!あんなの見たら、気になるの当然だよ。でも、もう全然落ち込んでないから、気にしないで!」
俊くんのおかげで、とは、さすがに言えなかった。
私の中の先輩が抜けた穴を、俊くんに埋めてもらってるとは思いたくない。思われたくない。たとえ、実際はその通りだとしてもだ。
私が『失恋した翌日に俊くんと付き合った』という事実に、俊くんも気づいただろう。
だけど、彼は不快そうに眉を寄せるわけでも、戸惑うような顔をするわけでもなかった。
ただ、少しばかり気の毒そうな目で、まっすぐに私を見ていた。
よかった、怒ってない。
そう思うと同時に、胸の奥が痛んだ。
私って、自分が思ってたよりずっといい加減なやつだ。



