「えっと……私、高校に入学したときから、好きだった人がいて」
瀬戸 一汰(イチタ)先輩。
入学式の日、在校生として私にパンフレットを渡してくれた。
そのとき、『入学おめでとう』って言ってくれた笑顔に一目惚れして、高校にはこんなにも格好いい人がいるのかと感動した。
「でも、話しかける勇気がなくって。ずーっと遠くから見てるだけだった。そしたら、俊くんと公園で会ったあの日、その人に彼女が出来たって噂聞いて。しかもその帰り道に、彼女と帰ってるとこを見かけちゃったんだ」
小耳に挟んだ、『瀬戸先輩に彼女が出来たらしい』という噂。
まっさかぁ。だって先輩は、どんなに可愛い子に告白されても付き合わないって話だし。
良くも悪くもチャラチャラしてて、派手なグループで遊んでばかりだ。恋人なんて面倒なもの、作ったりしないだろう。



