「……そうだね。じゃあ、そこにしよう」
私の話を聞いて、俊くんが頷く。
彼の表情に、大きな変化はない。彼のことを全く知らない人が見たら、『冷たい人なのかな』と思うような、硬い表情だ。
でも、私はこの顔に見覚えがある。
昨日、『行きたいところある?』と聞いたとき、『特にない。ごめん』って言ったときの顔と同じなんだ。
「……あの、俊くん」
近くにファストフード店に入って、それぞれに注文し終えるまで、会話はなかった。
注文したものを受け取るまでの待ち時間、恐る恐る声をかける。
店員さんや他のお客さん、システム音などで店内が騒がしいからか、俊くんは私の声に気づくと、身長に合わせて顔を近づけてきた。
ヒエエ、近い!顔かっこいい!私の面食いメーターがキャパオーバーしそう!



