「………………」
なんだか調子狂う。
昨日は、私の方がぐいぐい行ってたのに。
出会ってまだ数日なんだから当たり前だけど、俊くんのこと、まだ全然掴みきれないなと思った。
彼の方から積極的に来られると、どうしていいかわからなくてたじろいでしまう。
おずおずとその後ろをついて歩いていると、不意に俊くんが振り返った。
そして、また首をかしげる。可愛いな、その仕草。
「……なんで後ろ歩くの」
「あっ……い、いや、深い意味はないよ。ごめん」
気持ち的にちょっと数歩下がっていただけだ。気を悪くさせたら申し訳ないので、ささっと隣に並ぶ。
それを見ていた俊くんは、何故か申し訳なさそうな顔をした。
「………ごめん」
「えっ!?なんで俊くんが謝るの!」
「なんか……その……」
彼はモゴモゴと何やら言っていたけれど、最終的に「なんでもない」と言って誤魔化した。なんなんだ。



