「腹減ってんの?」
「……だ、大丈夫。耐えられるよ」
「食べに行く?」
「しゅ、俊くんは、そんなにお腹空いてないでしょ」
「軽く空いてる。ちょうどゆっくり話したかったし、どっか入ろう」
おお、今日は俊くんが提案してくれた。
昨日は私からばかりだったので、なんだか嬉しい。
でも、『ゆっくり話したい』ってなんだろう。ちょっとこわい。何言われるんだ。
私だって、今後の付き合い方についてちゃんと話したいと思ってたさ。でも、俊くんから言ってくるとは思わなかったから、なんかこわいよ。
「う、うん…わかった」
「嫌だったらいいよ。今日はこのまま帰る?」
「えっ!?嫌じゃないよ!大丈夫!」
なんでいきなり『帰る』になるんだ。今日このまま帰ったら、私は不完全燃焼すぎて今晩眠れなくなってしまう。ちゃんと話さねば。
私がぶんぶんと必死に首を横に振ると、俊くんは真意を見定めるように、少しの間、私をじっと見ていた。
やがて、「それならいいけど」と言って、静かに歩き始めた。



