「ご、ごめんね〜、待たせた!」
思わず顔をだらしなく緩ませながら、彼のもとへ駆け寄る。
こんな素敵な人が待ってる相手が自分だなんて、そりゃあニヤニヤしちゃうでしょうよ。
目の前に立つと、彼は何も言わずにふるふると首を横に振った。
たぶん『大丈夫、気にしなくていい』みたいなニュアンスだろう。
「えっと、今日は……」
どっか行く?と言おうとした瞬間、ぐ〜……と、盛大にお腹の音が響いた。
「……あ」
もちろん私である。
俊くんはあまり驚いた様子もなく、変わらない表情で私をじっと見てくる。恥ずかしいから見ないでください。
「ご、ごめん……」
気にしないでください、と謝ると、俊くんは小さく首をかしげて、私の顔を覗き込んできた。彼との距離が一気に縮まって、叫びそうになる。
ぎゃああ、近い!
肌が綺麗でクソ羨ましい!ぱっちり二重で睫毛バッサバサだし黒目が大きい!メイクで誤魔化しても、私完全に負けてる!!



