「でも、いいなぁー佳菜。『三谷俊くん』っていったら、青柳の王子様じゃーん」
頰を膨らませた璃子が、机の上に手を広げて顎を置いた。
「え、璃子、俊くん知ってんの?」
「うち、青柳の友達がいんの。うちも昨日思い出したんだけどさぁ、友達がよく『同じ学年にヤバいイケメンがいる』って騒いでて。そーいえばその人、三谷って苗字だったなって」
「へぇー……やっぱりあっちの学校でも人気だよねぇ」
当たり前か。あんなイケメン、眺めてるだけで視力が1.0くらい上がりそうだもんな。
「なんで俊くんは、同じ学校で彼女作らないんだろ」
他校で作るにしても、よりによってなんでこんなどこにでもいそうなギャルを選んだんだろう。
うーんと考えていたら、マナミが私を見つめて、「とりあえず」と言った。



