「それで、『佳菜も、楽しいと思えることをたくさん見つけなさい』って言ってくれたんだ。『死ぬとき、楽しい人生だったって思えるように』って。だから私も、『何事も楽しんでみる』ことをモットーにしてるの」
ゲームセンターの馬鹿みたいにデカい音量の店内も、初めは苦手だった。
でも、通ううちに慣れていって、楽しいと思えるものをたくさん見つけた。
今のこの派手な見た目も、最初はぎこちなくやってた。
でも、思い切って髪を染めてみたら、大人になった気がして嬉しく思えた。
コテでくるくる巻いてみるのも楽しいし、メイクも頑張れば今よりもっと可愛くなれるから好き。勇気を出して開けてみたピアスも、今ではお気に入りだ。
「……そっか。佳菜は、『楽しもうとして』楽しんでるんだ」
黙って私の話を聞いてくれていた俊くんは、やっぱり表情は変わらないまま、私を見つめてそう言った。



