「な、なにが?」
「遊ぶとこ、他にも色々知ってそう」
「それはまあ、そうだけど……でも別にすごくはないよ?遊んでばっかりだから知ってるってだけで」
「俺は、そんな風に楽しいって思えることが少ないから、すごいと思う」
「……………」
そう、なんだ。少ないのか……。
相変わらず感情の読み取れない表情を見ていると、なんだか悲しい気持ちになってくる。
あのとき笑ってくれたみたいに、この人に、もっと楽しいことを教えてあげたいなと思った。
小さくなってきた上段のアイスを一口食べながら、「私ね」と話し始めた。
「とにかく『楽しい』ことが好きなんだ。面白いとか、嬉しいとか、そういうのぜんぶ含めて、『楽しい』って思えることを増やしてくのが趣味、みたいな」
唐突に自分語りを始めた私にも、俊くんは何も言わず、小さく頷いて話を聞いてくれた。



