佳菜の注文を厨房へもっていく途中、近くの席の話し声が聞こえてきた。
「……いや、絶対そうだって! 彼女だって、あの人!」
「え~、だとしたらすごいショックなんだけど。ギャルじゃん?」
「うう……彼女いないって聞いてたのに……」
俺と佳菜の高校ではない制服の女子高生三人組が、なにやらこそこそ話している。
十中八九、俺と佳菜のことだろうと思うのは、自惚れではないだろう。
確かあの席に座っているのは、俺目当てでよく来ている子たちだ。
いつも俺を遠目に見てはきゃあきゃあ騒いでいる。面倒だから放っておいてるけど。
俺の彼女がいないというのはいつの情報か知らないけど、人の彼女を悪く言うのは良くないと思う。佳菜の耳に入ってないことを祈るばかりだ。
気付かないフリをして厨房に注文を頼んでいると、さっきの女子高生たちの席がわっと騒がしくなった。
見ると、女子高生の一人が顔を覆って泣いていた。思わずぎょっとする。



