「全メニュー制覇するためにも、通わなきゃね」
ぜひ通ってほしい。なんなら俺がおごるから毎日来てほしい。佳菜が常連客になったら何より誰より俺が嬉しい。
そんなふうに頭の中は狂喜乱舞しているのに、現実の俺の態度は、
「……全メニューってなると、財布的に厳しいしやめた方がいいと思う」
「あはは、確かに! 私もバイトしようかな~?」
なぜか最近、思ったことが口に出せない。ついでに無表情も悪化している。佳菜限定で。
たぶんあまりに佳菜が好きすぎて佳菜を前にすると『まぶしい』『可愛い』の二語しか出てこなくなるから、知能ある人間としての理性が待ったをかけてくれているのだろう。
つまりは照れ隠しでそっけなくしてしまう阿呆な男に対しても、佳菜は気を悪くした様子もなく笑顔を向けてくれる。まぶしい。可愛い。



