「……じゃあ、一発殴りますか?」
「は?」
「俺が口で謝って済む話ならいいですけど、そうじゃないんでしょ。殴って気が済むならどうぞ」
目を閉じて『いつでもどうぞ』という態勢を取る。
先輩が戸惑ったような声を出した。
「……い、いいんだな?」
「どうぞ」
この顔が原因でこんなことが起きるなら、ちょっとくらい歪んだ方がいいだろう。
そう思っていたら、教室の方から女子たちの悲鳴が聞こえてきた。
「イヤー!!やめてー!!」
「殴らないでっ、国宝の顔を!」
「あたしたちの癒しを傷つけるなー!」
ギャーギャーと背後から抗議の声が聞こえてくる。
「………!?」
先輩は驚いて、殴る手を止めた。
「こ、これはコイツが……っ」
「嫉妬で暴力とかダサーい!」
「ブサイクの妬みほど醜いものって無いよねー」
散々な言われようだ。
先輩は「くそっ」と悔しそうな声をあげて、目の前から去っていく。



