「さっきの女子、うちの学校でいちばん可愛いって言われてる子だぞ? お前、あの子でもダメなん?」
「ダメっていうかよく知らないし……。顔もあんまり覚えてない」
「マジか。さすが俊」
面白れえ奴だなあと笑われる。別に何にも面白くないけど。
周りが好き勝手に騒ぐ中、俺はこれから起こり得る面倒ごとのことを考えてため息をつきたくなった。
さっきの子、そんなに有名な子だったのか……。明日から一部の女子たちの目が怖い。女の子って集団になるとどうしてあんなに無敵になるんだろう。今から身震いしてしまう。
別に大して仲良くない女子に嫌われても構わないけど、あからさまに敵意を孕んだ目で睨まれるとあまりいい気はしない。
普段は遠目から俺を見てきゃあきゃあ騒いでいるのに、俺が何組の何さんをフッたという情報が出回ると、その集団は一気に俺を冷たい目で見てくるようになる。
よく表情筋が弱すぎると言われる俺からすると表情豊かなのは羨ましい限りだけど、一瞬で態度を翻すのはどうかと思う。



