「わ、わたし、三谷くんのこと、入学してすぐの頃からカッコいいなって思ってて……。お試しで付き合うとかも、ダメ……?」
「……悪いんだけど、俺、君のことよく知らないし」
「でも前の彼女はお試しで付き合ってたって聞いたよ?」
「……そういうのもうやめたんだ。よく知らない子と付き合っても上手くいかないから」
「……実は好きな人がいるとか」
「いないけど、君とは付き合えない」
ハッキリ言うと、女の子は泣きそうな顔をした。それを見て少し心が痛んだ。
だけど何を質問されても答えは同じだ。
一年生の頃は二回ほどこんな風に告白されて付き合ったけど、ぜんぶ三か月と経たずに別れてしまった。
彼女たちが悪いんじゃない。俺が悪い。俺が彼女たちの求める『彼氏』でいられなかったせいだ。
女の子は涙の浮かんだ瞳で納得がいかないという顔をしていた。けれどやがてぷるぷると肩を震わせ始め、キッと俺を睨んだ。



