「今、16時半くらい。そろそろお土産見る?」
「……なんか返事雑じゃなーい?」
別に怒ってないけど不満げな顔をしてみると、俊くんはきょとんとした顔で私を見た。
それからちょっと考えるように目線を横にやって、「なんかさ」と言った。
「今日一日過ごして思ったけど、佳菜って子供みたいなとこあるよね」
「……えっ!?あ、いや、違うよ!?ほんとは怒ってないんだけど、ちょっと文句言ってみたら俊くんがどういう反応するかなと思って!あ、それが子供ってこと!?」
「ああいや違う。さっきの水槽が割れたらって話。感性が純粋無垢っていうか、何にでも興味持つし、あんまり嫌な感想言わないよね」
「………そ、そお?……って、違うよ!今は俊くんの返事が雑だったって話してるのー!」
なんか褒められて調子に乗ろうとしてしまった。これが話術か。
俊くんが怒った私を見て「ごめん」と言いながら小さく笑う。
その顔を見ながら、俊くんだって今日一日で随分表情豊かになったよ、と思った。
教えてあげないけどね。意識されて表情固くなっちゃったら嫌だし。



