「……ど、どうしたの?私、なんか変なこと言ったかな」
焦って尋ねると、俊くんは小さく首を横に振って「ううん」と言った。
「……好きだなあと思って」
……胸が、きゅうと痛くなった。
俊くんはなんだかくるしそうで、でも本当に愛おしいって目で私を見ていて。
こんな目をして『好き』だと言う男の子を、私は初めて見た。
「……それは、しあわせな気持ちの『好き』?」
「間違いなく」
珍しく俊くんが即答した。
私は嬉しくて、ちょっとびっくりして、なんて言っていいのかわからなかった。
なんていうか、彼の私への想いの強さが、ほんの少し見えた気がしたんだ。
私は俊くんと付き合うようになって、誰かを好きになればなるほど、楽しいばっかりじゃなくなるって知った。
想えば想うほどなんだか切ないし、相手を知れば知るほど愛しいし、考えれば考えるほど好きすぎてくるしい。
そうやって私ばっかり俊くんへの気持ちを募らせて、重くなってると思ってたから。



