彼が立ち上がろうとする前に、私は手を差し出す。 そしてニッコリと笑って、彼に尋ねた。 「ね、もう私のこと好きでしょう?」 俊くんは目を見開いて、私を見た。 やがて優しく目を細めて、……切ないくらい、無邪気な笑顔を見せてくれた。 「……うん。俺は佳菜が、好きだよ」 慈しむように。 噛みしめるように。 愛おしさが広がるように、ゆっくりと丁寧に俊くんは言った。