「……ごめん、ずっと黙ってて。……パン、美味しい?」
「……うん。美味しいよ」
「……ペンギンショー、面白かったね」
「……うんっ。そうだね。ペンギンも可愛かったけど、飼育員さんのトーク力もすごかったね〜。あれが本物のコミュ力って言うのかなあ」
ちょ、ちょっとびっくりした。俊くんが続けて話題を振ってくれたことに。
私が笑って話すと、俊くんはホッとした顔をする。……あれ?
「佳菜は……。あ、いや、……ペンギンの他に、何か気に入ったのあった?」
彼は努めて明るく、といった表情で私に話題を振ってくれた。
「……えっと、そうだねえ。クラゲはすごい綺麗だなあって思ったよ。家で飼いたいくらい!」
私もそれにつられながら、あれ?と思っていた。
なんだろう。なんか、変だ。
私はデートの最初、今日の俊くんはいつもと違うって思ったけど。



