「……………………」
私はなんだか恥ずかしくなってきて、クラゲの方を見れなかった。
自分の足元を見ながら「く、クラゲ、可愛いよね」と言った。
「……うん」
そろっと顔を上げてみると、顔は水槽の方を向いたまま、私の方へ視線を向けている彼が見えた。
「……………」
今度は目をそらせなかった。ドキドキドキと、心臓が激しく脈打つ。
少しの沈黙の後、彼がおもむろに口を開いた。
「……デート楽しい?佳菜」
「……え?た、楽しいよ。すっごく楽しい!当たり前じゃん、俊くんといるんだもん」
繋いだままの手をぶんぶん振って言うと、彼は嬉しそうに柔らかく笑った。
「よかった」
きゅーん……。
なんて可愛い笑顔なんだ。彼の笑顔は一瞬で消えちゃう儚いものだけど、私の脳裏にはしっかりと焼きついた。
近くの出口から外に出て、ペンギンショーの会場に着いた。
2階の屋外に設けられた小さなスペースの真ん中に、そのまま1階へ繋がっている深いプールのような水槽があった。



